アノニミティについて

《アルコホーリクス・アノニマスはなぜ「アノニマス(無名にとどまる)なのか》

無名であることはAAの霊的な基盤となっている。一人一人が無名にとどまることによって、AAの集まりを個人支配からまぬがれさせ、AAの回復・一体性・サービスの原理をあくまでも優先させることを可能にする。AAは同等の立場の人間の集まりである。わたしたちは、AAの回復のプログラムを多くの人に知ってもらおうと、力を尽くして努めているが、ここに参加する個人を知ってもらおうとはしない。したがって、新聞、ラジオ、テレビ、映画など、マスコミや公の場でAAメンバー個人の名前を出すことはない。このようにして、メンバーのプライバシーは守られ、更には、個人として認められたいというエゴに歯止めがかけられ、全員が平等であることが明確にされる。

《グループでのアノミニティ》

AAに足を運んできた人の個人のプライバシーは確実に守られるよう、わたしたちは、お互いに最大の努力を払っている。お互いのプライバシーを守る約束も、アノミニティの意味の一つであり、AAミーティングで一人一人が自分の飲酒のトラブルにまつわる話ができるのも、そこで話された個人の秘密をわたしたちは明かさないからである。わたしたちは、そこで分かち合われた回復の話だけを自分のものにしている。グループの中では、自分の姓名を名乗ることも、連絡先を教えることも、一切明かさないことも、その人の自由である。どこまで自分のプライバシーを明かすかは自分で決められる。

《公の場でのアノミニティ》

AAメンバーとしてマスコミに出る場合、顔を見せることと姓名を名乗ることはしない。 AA以外の機関が主催する公の会合でAAメンバーとして話をする際も、フルネームは出さない。いずれの場合も、AAを代弁するのではなく、一人のメンバーとして話をする。なお、AAメンバーであることを表明しない限りは、マスコミに出ても、公の場で自分の姓名や立場を明かしても、伝統に反するものではない。

AAワールド・サービス社の許可のもとに、『ミーティングハンドブック』より再録